【専門家監修】カビアレルギーについて | 原因・特徴・治し方・対策
最終更新日:2024年10月03日
カビドクターズ代表
牧平 幸
カビドクターズの代表・牧平 幸です。カビ取り5年の経験と、世界初の特許技術を用いて大阪・京都No.1の品質を目指して日々カビ取りと向き合っております。
カビアレルギーとは
カビアレルギーとは、カビの胞子を吸い込むことで起こるアレルギー反応です。
本来、カビの胞子は無害なのですが、体の免疫系が誤ってカビの胞子を『危険な物質だ』と過剰反応し、アレルギー症状を引き起こります。
カビアレルギーの原因
カビの胞子を吸い込むことで発生します。カビの胞子はそこらじゅうに浮遊しているため、カビが発生している以上、カビアレルギーが発生するリスクは常にあります。
発症しやすい特徴としては、カビの胞子量が多いのはもちろんのこと、アレルギー体質の方、免疫力が低下している方は発症しやすいです。
カビアレルギーの症状
カビアレルギーの症状には大きく3つほど種類があり、それぞれの症状には特徴があります。
種類 | 症状 |
---|---|
アレルギー性鼻炎 | くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみ、喉のかゆみ |
アレルギー性喘息 | 喘鳴(ゼーゼーとした呼吸音)、呼吸困難、咳 |
アレルギー性結膜炎 | 目のかゆみ、充血、涙目 |
風邪や花粉(季節性アレルギー性鼻炎)と似ている症状が多いです。
無害であれば放置しても大丈夫?
カビアレルギーは、軽度であればくしゃみや鼻水などの不快な症状で済むことが多いです。
ただ、放置することで喘息の発作や慢性鼻炎が発展し、慢性的になると日常生活に支障をきたすほど辛い症状となります。
カビアレルギーは自然回復することがほとんどないため、症状が気になり始めたら早めに内科や耳鼻咽喉科、アレルギー科に相談しましょう。
カビアレルギーの原因となるカビの種類
カビの種類は、全世界で10万種を超えているといわれていますが、日本においてカビアレルギーを引き起こす代表的なカビの種類を紹介します。
種類①黒カビ(クラドスポリウム)
発生場所 | 浴室の壁、キッチンのシンク、窓枠 |
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危険度 | ★★★★★ |
通称「黒カビ」は、日本の家庭でもよく見られるカビの一種です。
湿気が多い浴室やキッチン、窓枠、カーテンなどに発生しやすく、黒っぽい色が特徴です。
黒カビは、吸い込むことでアレルギー性鼻炎や喘息の症状を引き起こす原因となりやすく、特に気管支に影響を与えやすいです。
種類②青カビ(ぺニシリウム)
発生場所 | 冷蔵庫の中、パンや果物、食品庫 |
---|---|
危険度 | ★★★★☆ |
いわゆる「青カビ」は、食品や果物、パンなどに発生しやすいカビです。
青カビは、室内に漂う胞子を吸い込むことで、アレルギー性鼻炎や喘息、皮膚のかゆみなどのアレルギー反応を引き起こします。
種類③コウジカビ(アスペルギルス)
発生場所 | エアコン内部、カーテン、畳の下 |
---|---|
危険度 | ★★★★☆ |
「コウジカビ」は食品の発酵に利用される一方で、アレルギーの原因にもなるカビです。
空気中に浮遊するコウジカビの胞子を吸い込むことで、アレルギー性喘息やアスペルギルス症といった呼吸器疾患を引き起こす可能性があります。
特に免疫力が低下している人は、コウジカビによる健康被害を受けやすいため注意が必要です。
種類④ススカビ(アルテルナリア)
発生場所 | 窓枠、玄関周り、屋外のベランダ |
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危険度 | ★★★☆☆ |
「ススカビ」は秋から春にかけて発生しやすいカビです。植物や土壌に生息し、空気中に放出される胞子が風で広がり、人の呼吸器に影響を与えます。
ススカビは、アレルギー性鼻炎や喘息、結膜炎などの原因となることが多く、敏感な人には強いアレルギー反応を引き起こすことがあります。
種類⑤アカカビ(フサリウム)
発生場所 | 食品棚、台所の湿気が多い場所、風呂場の排水口 |
---|---|
危険度 | ★★★☆☆ |
「アカカビ」は、農作物に多く見られるカビです。
小麦やトウモロコシなどの穀物や豆類、果物などに付着しやすく、食品の保存状態が悪いと発生しやすいカビです。
フサリウムはアレルギー症状を引き起こすだけでなく、マイコトキシンという有害な毒素を生成することもあります。
吸入や摂取によって、呼吸器症状や消化器系の健康被害を引き起こすリスクが高まります。
種類⑥クロカビ(アウレオバシジウム)
発生場所 | 浴室の天井、窓枠のゴムパッキン、木材や壁紙 |
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危険度 | ★★★★☆ |
「クロカビ」は、木材や壁紙、窓枠、浴室などに発生しやすいカビです。
外観が黒や暗い色をしているため、見た目で発見しやすいですが、空気中に胞子を放出し、アレルギー性鼻炎や皮膚炎、喘息などを引き起こすことがあります。
カビが原因のカビアレルギー以外の症状
カビアレルギーは無害な物質によって発生する症状に対し、カビ自体が有害な毒性物質を生成して健康被害を及ぼすこともあります。
この毒性物質は、カビ胞子同様、食品や空気中に存在するため、生活しているだけで体内に取り込まれてしまうため注意が必要です。
症状①マイコトキシン中毒
カビが生成するマイコトキシンは、カビアレルギーとは異なり、人体に直接的な毒性を持つ有害物質です。
特に食品の保存が不十分な場合や湿度の高い環境では、マイコトキシンが生成されやすくなります。
この毒素を摂取すると、肝臓や腎臓に負担をかけ、最悪の場合、発がん性が高いアフラトキシンなどによる健康被害が出ることがあります。
症状②過敏性肺炎
過敏性肺炎は、カビを含む有機物質を吸い込むことによって引き起こされる炎症性の肺疾患です。
カビが繁殖した湿気の多い環境で長期間過ごすことで、体がこれらの物質に過敏に反応し、慢性的な咳や息切れ、発熱などの症状が現れます。
過敏性肺炎が進行すると、肺の組織が硬くなる線維化が進み、呼吸機能の低下や日常生活に支障をきたすことがあります。
症状③慢性閉塞性肺疾患
カビによる長期間の曝露は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)のリスクを高めます。
カビの胞子やその他の有害物質が肺に入り込み、気道の炎症を引き起こし、呼吸機能が徐々に悪化します。
COPDは進行性の病気で、咳や息切れ、胸の圧迫感が主な症状です。
特に喫煙者や呼吸器疾患の既往歴がある人は、カビへの曝露がさらなる悪化要因となるため、予防が必要です。
症状④アスペルギルス症
アスペルギルス症は、アスペルギルス属のカビが引き起こす真菌感染症で、特に免疫機能が低下している人に見られます。
アスペルギルス菌は空気中に広がっており、これを吸い込むことで肺や他の臓器に感染が広がることがあります。
症状としては、咳、呼吸困難、胸の痛みなどがあり、進行すると重篤な感染症に至ることもあります。
カビアレルギーの治し方
カビアレルギーは、症状を根本的に治療することが難しいですが、適切な治療と管理で症状を緩和させることは可能で、日常生活では問題なく過ごすことができます。
具体的な治療方法を2つご紹介します。
治し方①治療薬
カビアレルギーの症状を緩和するために、治療薬が最も一般的です。医師の診断を受けて、以下の薬を使用します。
治療薬 | 詳細 |
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抗ヒスタミン薬 | アレルギー症状を抑えるため、鼻水やくしゃみ、目のかゆみを軽減します。市販薬もありますが、医師に相談して処方を受けることが推奨されます。 |
ステロイド薬 | 鼻や気管支の炎症を抑えるために使用されます。点鼻薬や吸入薬として処方されることが多いです。 |
気管支拡張薬 | アレルギー性喘息などによって呼吸が困難になる場合に、気道を広げる薬が使われます。 |
治し方②アレルゲン免疫療法
カビアレルギーが重症化する場合や長期間の改善を目指す場合には、アレルゲン免疫療法が有効です。
アレルゲン免疫療法とは、少量のカビアレルゲンを体に徐々に慣れさせ、免疫系の過剰反応を抑える方法です。
100年以上前から行われている治療方法であり、皮膚に注射する「皮膚免疫療法」や、アレルゲンを口の中で吸収させる「舌下免疫療法」などがあります。
カビアレルギーの対策方法
カビアレルギーを対策する方法は「カビ自体を抑制する」ことと「アレルギーが発症しづらい強い体作り」の2つがあります。
対策①生活環境改善
最も効果的で取り組むべきことが、カビ自体を抑制する生活環境改善です。
カビが発生する主な原因は『湿度・温度・汚れ・酸素』の4つであり、この中で酸素以外の3つについて具体的な対策方法をご紹介します。
生活環境改善①湿度を60%以下に設定
カビは70%を超えると数ヶ月で繁殖し、90%を超えるとたった2日で繁殖するほど、カビの繁殖と湿度は密接に関わっています。
そして目指すべきは湿度を60%以下に抑えることを推奨しております。50%以下であればよりベストです。
多くのカビは60%以上で繁殖力が高まりますが、上述した「アスペルギルス(コウジカビ)・クラドスポリウム(黒カビ)・ペニシリウム(青カビ)」は50%でも繁殖してしまうため、可能であれば50%以下を推奨しております。
湿度を下げる最も簡単な方法が、エアコンの除湿機能を用いる方法です。ただし、除湿機能を用いた際に、湿度はエアコン内部に溜まり、エアコン内部がカビまみれになって部屋中にばら撒いてしまうこともあります。
エアコンは室内の中で最もカビが生えやすい場所の1つでもあるため、「エアコンがカビ臭い?明日からできるカビ除去方法・カビ対策まとめ」を参考にして定期的にエアコンの手入れを行いましょう。
生活環境改善②温度を15〜25℃に設定
カビが最も好む温度は「20〜30℃」で、生息温度は「0〜40℃」です。そのため、人間の適温と非常に近いため対策が難しいです。
ただ、どちらかといえば高温を好む性質のため、室内を「15〜25℃」に設定することを推奨しております。
生活環境改善③汚れをこまめに掃除
カビの栄養源は汚れです。具体的には手垢や髪の毛、食べかすなど、ありとあらゆる汚れを栄養に繁殖します。
特に台所や浴室は、油汚れ、石鹸カス、ホコリなど、カビの繁殖を助ける汚れが多い傾向のため注意が必要です。
できることはこまめに手入れ・掃除をすることで、3日に1回程度は簡単でも良いので掃除するよう心がけましょう。
生活環境改善④空気清浄機で直接対策
空気中のカビ胞子を直接洗浄する方法が空気清浄機による空気の洗浄です。
カビ除去成分でお馴染みの次亜塩素酸を発生させる仕組みが搭載されている『Panasonic ziaino』はとても有能で、HEPAフィルターも搭載され「除菌・脱臭・加湿・集じん」を1台で完結できる優れものです。
以前は、次亜塩素酸を発生させる塩タブレットは手動で入れていたのですが、Panasonic ziainoは全自動で行ってくれるため手間いらずで簡単にカビ除去ができます。
以上が生活環境改善の4つの方法でした。続いてはアレルギーが発生しづらい強い体作りの食生活改善について紹介します。
対策②食生活改善
カビアレルギーを予防・緩和するためには、食生活の改善も重要です。免疫力を強化し、体の抗炎症作用を高めるための食べ物を取り入れましょう。
食生活改善①抗酸化物質が豊富な食べ物
抗酸化物質は、体内の炎症を抑える効果があり、カビアレルギーによる炎症を軽減するのに役立ちます。
ビタミンCを多く含む食品 | オレンジ、キウイ、ピーマンなど |
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ビタミンEを含む食品 | ナッツ類、アボカド、ほうれん草 |
食生活改善②腸内環境を整える食べ物
腸内環境を整えることで免疫力を高め、アレルギー症状を軽減する効果が期待できます。
発酵食品 | ヨーグルト、納豆、キムチなど |
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食物繊維が豊富な食品 | 全粒穀物、野菜、果物 |
食生活改善③抗炎症作用がある食べ物
カビアレルギーによる炎症を軽減するため、抗炎症作用を持つ食品を取り入れましょう。
オメガ3脂肪酸を含む食品 | サーモン、イワシ、亜麻仁油 |
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ターメリックやショウガ | これらのスパイスには、抗炎症作用があり、アレルギー症状を和らげる効果が期待されます。 |
まとめ
- カビアレルギー・毒性の症状問わず、気になる発症があれば内科や耳鼻咽喉科、アレルギー科に相談しましょう。
- カビアレルギーの自然回復は難しいので、病院で適切に治療してもらいましょう。
- カビアレルギー対策は、カビの3大原因である「湿度を60%未満・温度を15〜25℃・汚れは3日に1階掃除」を徹底しましょう。